幕府臣川井久幸七十三歳作之 安政五牛年八月 (武蔵)(東海道)

平造り庵棟 うぶ茎 小板目肌、杢交じりよく詰む。地沸微塵に厚くつき、細かな地景顕われ、淡く沸映り立つ。刃紋は湾れに互の目、尖り心の刃交じる。匂い深めに沸よくつく。沸足、葉盛んに働き、金筋、砂流し頻りにかかる。匂い口明るく冴える。本名は川井亀太郎。旗本で小石川に住す。中山一貫斎義弘、清水久義の門。黒呂塗家紋蒔絵鞘合口拵付き。(特別保存刀剣)